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印鑑のリニューアル

なにはともあれ、こんなことを参考にして、なんのために、自分のどの思考力を強化するか、そしてどの思考習性を変えるか、そして自分の思考の範囲が限定されていないか?ものを見る重要な視点が限られていないか?論理的思考の欠落はないか?などの、自分に対する自分だけの処方筆をつくるとよい。 これらが構想づくりの基礎となる。

ひょっとすると、われわれの発想力の強化、思考力の強化には、思考力が問題なのではなくて、よい情報を持っているかどうかがカギになっているのかもしれない。 つまり、肝心の情報が欠けているために、分析が偏ってしまうのかもしれない。
ひょっとしたら、思考の仕方にひどいくせがあって、わけのわからない情報が、結論となって出てくるのかもしれない。 ときには、自分の持っている価値観から、ある種の思考については拒絶反応が起きて、思考を自ら止めてしまう。
その結果、別のほうを探してもいい結果が出ない。 こんなことかもしれない。
さて、経験的に言うと、人間の思考行動には癖がある。 ときには、恐るべきパターン化をしているのである。
例えば、多少戯画的に述べれば、汚れたワイシャツを見ると、捨ててしまえと思うAさん、洗濯しなきゃあと思うBさん、また買わなくちゃあと思うCさんが、問題となる部下を見たとき、それぞれ、Aさんは、クビにしてしまえと思う。 Bさんは、よほど教育せにゃいかんと思う。
Cさんは、どこかにいい新人はいないかなと思う。 おおよその傾向がある。
こういう思考のくせを見つけることは大事だ。 なお、このような一見価値観に属するようなことも、結局は過去からの思考と行動の繰り返しが原因になっている。

では、構想化では、このくせがどんなふうに表れるのか。 Aさんは、腹を立てて、ときには厳しい意見を言って否決する。
Bさんは、何とかこれを修正して、自分の意見に近づける方法を考える。 Cさんは、他によい提案はないかなと、すぐ、別の案を求める。
実際の場では、どれが正しいかはなんとも言えない。 だが、構想者は、くせを検討するのは有益だろう。
ある自動車会社の関連企業十六社の人事部長、教育部長の方々に、発想の問題を説明した折、要望によって、その方たちをテストしたところ、ものを見ている視点で、十六人中四人の人が「重量」という視点からものを見ていた。 めったにないケ−スである。
業務歴を調べると、その四人は、エンジン設計、車体担当など、重量に関わる仕事をしてきた人であるということがわかった。 すなわち、意識の底に、重量という視点がこびりついていて、とっさの場合、重量という視点からものを見てしまうのである。
次に、これは、読者が自分でテストしていただきたい。 ここに、無色透明のコップがある。
これをコップと考えず、単なるものを考える。 自由に使い道を考えよ。
できるだけスピーディーに用例を十挙げよ。 だいたい、こういう答えが多いはずである。
即ち、水を飲む、筆立てにする、花を活ける、ふちで円を描く、割って凶器にする、楽器にする。 最初の五つは、無意識のうちに「かたち」という視点でものを見ている。

最後の一つは「音」という視点でものを見ている。 試しに、あなたの周辺の人にやってみてほしい。
少し急がせれば、ほとんどの人が、「かたち」で答えるだろう。 即ち、同系列の発想が延々と続くはずである。
そして、アイデア切れになろう。 これはなぜか。
それは「コップという存在」に引っ張られて、あるいはそれに反応して、発想しているからである。 何らかの視点を確立して、それで考えれば、別の答えが出る。
例えば、前例にあるような、「重量」という視点から、コップを見る。 コップの重さからすれば、文鎮にする、という答えが出ても然るべきなのに、である。
ちょうど社内で「現状に引っ張られて」従来と似たような改善案を出すのと同じである。 これらのケースを見てみると、われわれは容易には、意識の中にある視点からは抜けられないという事実がはっきりする。
そこで、「ふむ、そんなものか」というのではなくて、次のことに注意していただきたい。 1.自分には、使い慣れている視点があって、思考の範囲は、その視点に限られがちである。
2. だから、ある主題によっては、すばやく視点を切り換えて、発想したり、分析したりすることが、よき着想、よき解への早道である。 3. ひょっとすると、ある主題を開発・分析したりするのに最適な視点があるかもしれないのに、それに気づいていないのかもしれない。

4.面白いなという解は、ひょっとしたら視点のユニークさに基づいているのかもしれない。 5. ひょっとしたら、相手の言うことが理解できないのは、その情報をつくり出した相手の視点が、理解できないせいであるかもしれない。
以下、省略するが、この視点問題については、私のまとめたもの以外に資料がないようなので、ここで簡単に説明しておこう。 視点には、単一視点と複合視点とがある。
さて、自分の思考力の整備からいうと、単一視点からの訓練、自己強制が有効であって、複合視点は、それぞれの視点が抽象性を伴うため、まず単一視点をクリアにしてから、入っていくことが好ましい。 これらの視点は、それぞれ重要であって、その人の職務や、必要とする行動ごとに、それぞれにふさわしい視点群があると考えたほうがよいだろう。
ただ、注意しなければいけないと思われるのは、われわれは、日常、絶えず、視点を意識して人と話をしたり、ものを分析したりはせず、イメージ力に頼ったり、瞬間的な反応でそれぞれの行動を行うことである。 そうすると、持っている知識が共通であれば、その知識を媒介とした共通内容しか出てこない。
即ち、ある物事を分析したりした場合、皆、同じ解しか出てこないことが多くなる。 毎回毎回同じような結論になって、参加者がぶつぶつ言う。
そして、「こんな会議はやめたほうがましだ」と言う。 だが、これらのマンネリ化の基本的原因は、参加者が「同じような視点」から問題に取り組むところにある。
即ち、出てくる情報が同じためだからである。 だから、悪いのは参加者一人ひとりの視点である、ということになる。
通常の思考訓練では、第6項目に挙げた「切ったら、つなげたら、のせたら、組み合わせたら」の視点がよく用いられる。 これは物的対象への適用には効果があるが、私としては、構想力の強化のような場合は、第5項目の「開発、分析、規定、構想等に有効な視点」を特に重視する。
これについて、徹底的に訓練すると、特に若手の方ほど、見違えるような分析力、開発力、企画力を強めるものである。 ただ、これだけでは、理解しにくいと思うので、順次、説明を加えていくことにしよう。
次のことを点検するように、ここではお勧めしたい。 1. あなたは、どういう視点からものを考え、発言し、分析しているか。

2.重要な視点の欠落を起こしていないか。 3. これからの技術力の強化、企画力の強化に当たって必要となる知識、および視点への無関心が見られないか。
ここで、次のことを強調したい。 視点とは、ものを考えるときの出発点となり、かつ情報を集めたり、記憶を想起したり、分析や開発、構想の焦点を絞ったりするためのある概念であって、言葉または語句で表されるものである。

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